2010年9月16日木曜日

「買う」をストーリーにするってことは、生きるってことに密着させなきゃいけない

(※画もなくて長文で読みづらくてすみません!!!時間のある時に調節します)

昨日(2010/9/15)は久しぶりにスクーリングパッドの農業学部に顔を出してみました。

たまたま約束が一日ずれたので、丁度聞いてみたかった、
「地元力」を推進している民俗学者の結城先生のお話を聞いてきました。

おそらく50半ばの男性なのですが、
仙台で大きなデザイン会社の社長をしていたところ、
コピーを書いたりして、嘘(というと大げさですが)を言って
お金をもらうことに疑問を感じ、会社をやめ(!?)、
今日までの20年ほど、日本の村を回って話しを聞いて行ったそうです。

さて、今、結城先生は地回りして感じたことを新聞や書籍で発表し、
地域の人々にもその考えを伝播しいる、行動家的な部分を持っています。

そして、実際に先生が主体として動いているのが、
鳴子の米プロジェクト」です。

そのプロジェクトは、鳴子温泉の活性化のための企画なのですが、
ただ、観光を推進するために上辺だけのパンフレットを作ったりするのではなく、
地元のおにぎりを旅行客に持って帰ってもらおう。
それで、鳴子を好きになってもらおうという趣旨です。

鳴子という地域はそのプロジェクトを始める前までは
休耕田が増えてきていて、最盛期の半分ほどの耕地になってしまっていたそうですが、
その休耕田を、おにぎりの分だけ再開発しようと、農家さんを口説き、
この地域の農業を絶やさないために、農家さん数人と一緒に始めたそうです。

新しいことを始めるには、やはり最初は人が着いてこないもの。
しかし、結城先生はこのプロジェクトを始めました。

始めてから今年で5年になります。
なぜ5年もつづいているのか、しかも、資料によるとかなりの活況を見せています。
そのポイントは以下のとおりだと思いました。

・地元の環境にあったお米を育てる。
・無理して無農薬にしない
・できあがったお米が一番美味しく作れる炊き方を考える
・ちゃんと持続できる金額を設定し販売する

ただこれだけです。
正確に言えば、この企画に責任をもって、赤字をすべて自分で払うつもりでいた
結城先生の「覚悟」も大事にだと思うのですが、ちょっとおいておきます。

つまり、今回ポイントで上げたものは、「続けられること」に絞られています。

ついつい、売れそうだからということで無理をしてしまうこともあります。
しかし、大事なことは小さく始めて大きく刈り取れるように続けることです。


さてさて、ここでタイトルの内容に入ってくるのですが、
そのシンプルなポイントを元に実行したとしても、
本当に持続させるには一番難しいのが金額の設定と売り方です。

この金額設定がすごい。
市価1俵1万円程度のところ、2万4千円で販売することにしています。
倍以上です。

では、なぜそんな値段でも買ってもらえるのか?
それは、結城先生がこんこんと説いていた、僕たち誰でもが提供することのできる、
日本農業活性化のための力。「食う力」を貸して欲しい。という言葉だったんだと思います。

「食う力」を貸して欲しい。

それによって農家はちゃんと来年も食べていけるだけの収入を得られ、
持続的な活動ができます。
農家の欲しい(もちろんべらぼうには取りすぎない)金額で買ってもらい、
そのことで農家を応援し、農業を若者でも食べていける職業にする。

それが、結城先生が説く、農業活性化方法であり、
「鳴子の米プロジェクト」を成功に導いているコンセプトだと思います。

確かに生活は苦しくなってきています。
しかし、食べるということを、米を買うということを、
ただ買うということで終わらせず、おいしい米を食べることで終わらせず、
それが農家の生活に直結し、環境の改善にもなり、来年の自分の食事にもつながっている。
ひとつの買うという行為が、次の行動に循環し、自分自身もストーリーの中に入っている。

無駄な浪費がなくなってきて、生活に密着した消費が続く中で、
企業経営だけでなく、生活者である僕たち自身の行動にも外部性という概念が、
徐々にはいってくるのかもしれない。

コトラーの新しい著書「マーケティング3.0」にも、
これからはソーシャルメディアとうまく活用しつつ、
環境に配慮した事業運営をしなければいけないと書いていたが、
そういうことが本当に求められる時代が来ているんだと思う。

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